寺井順一 著
霞出版社 発行
満州事変の発生時に、高橋是清の下で健全財政方針を貫こうとした有能な大蔵官僚たちがいた。中でも、賀屋興宣、石渡荘太郎、青木一男の三人は、実務能力・統率力において秀逸であり、誰言うともなく「大蔵省三羽烏」と称したのである。
本書は、彼らの信念に満ちた生き様を、それぞれの蔵相時代を中心に活写したオムニバス形式の略伝である。
今日、イラク戦争やテロの発生を通じて平和の意味が問い直され、一方で、昭和戦前期を回顧する昭和史ブームが到来している。日米開戦は回避できなかったのか、如何なる要因が妨げとなっていたのか。本書は、戦史とも政党史とも違った角度から解明しようとした新たな形式のバイオグラフィーである。