Archive for 6月, 2010
特攻大和艦隊 帝国海軍の栄光をかけた十隻の明暗
阿部三郎 著
霞出版社 発行
著者は、防衛庁戦史部をはじめ、内外の資料のほか、二百人に近い関係者の証言に基づいて、最後まで勇戦敢闘した十隻の各隻とその将兵の生き様、死にざま、その真実の姿を伝えている。
日本海軍は、特攻機による沖縄攻撃呼応し、異例の海上特攻隊に世界最大最強の戦艦「大和」を投入した。随伴する新鋭巡洋艦「矢矧」と摩下歴戦の駆逐艦八隻。だが、直衛機なき裸艦隊の末路は明白である。
各艦長の猛反対も、伊藤長官の「死んでこいということだ」の決意に打たれ、艦隊は粛々と南下する。
その時、味方の護衛戦闘機は、どこでなにをしていたのか。また、やがて、圧倒的な米戦闘機と渡り合う各艦の死闘と明暗を分けたその過酷な命運を、それぞれ克明に再現、活写して、読者の胸を打つ。
還らざる特攻艇 爆装モーターボートの知られざる戦闘記録
益田善雄 著
本書は、昭和31年鱒書房より出版され、相当部数が発行されたといわれるが、すでに絶版になって久しく、また、水上特攻艇に関する出版物は他にほとんど見当らないため、生存する当時の関係者たちからの強い希望に応えて、今回重版することとなったものである。著者は、旧版はそのままとし、その後、英国の戦史作家が、日地米双方の戦闘記録を照合して著述した出版物やその他の資料などから、新たに発見された真実を追記補完し、外国における特攻艇の記録等もつけ加えて、これを上梓することとした。
本書を改めて読みかえすとき、太平洋戦争末期において、祖国の気球を挽回せんと、うら若い陸海の将兵たちが、この小さな特攻艇に搭乗し、眦を決して敵艦船に殺到し、驚異的な戦果を挙げて散華していったその純粋な情熱にふれ、戦後42年にして、なお、激しく胸えぐられる想いがするであろう。本書はその鎮魂の書でもある。